慢性子宮内膜炎と妊娠率・出産率についての新しい論文が出ています。
当院で検査ご希望の方は、診察時にお気軽にお申し付け下さい。
検査のタイミングは、生理が終わった直後の、
目安として、生理7日目〜9日目(子宮内膜の増殖期)です。
2022年2月現在では、
保険適用の検査にはなっておらず、自費となっています。
子宮内膜の細胞を採取して、CD138陽性細胞を調べます。
陽性の数や、状況に応じて、
慢性子宮内膜炎の治療を検討します。
ご参考までに、
下記に慢性子宮内膜炎の最新の報告を掲載致します。
CD138と抗生剤の使用について
《Fertil Steril 2021年8月》
まず、顕微鏡を400倍で強拡大した、
1視野あたりにつき、
CD138陽性細胞 0個
CD138陽性細胞 1〜4個
CD138陽性細胞 5個以上
の3つのグループに分けます。
(単位は、" /HPF "です。)
☆ 0個のグループは抗生剤を使いません。
☆ 1〜4個のグループは、
更に、抗生剤を使ったグループと
抗生剤を使わない2つのグループに分けました。
この3グループは、
妊娠率・生児出産率には、
有意差はなかったとの事です。
次に、
1〜4個のグループと、
5個以上のグループを比べます。
☆まず、5個以上のグループで抗生剤を使い、
1回、もしくは、2回の抗生剤の使用で、
89%の人が4個以下となりました。
この元々5個以上のCD138陽性細胞があったけれど
4個以下になったグループは、
元々1〜4個のグループと、
妊娠率・出産率には、
有意差はなかったとの事です。
2回の抗生剤の使用でも、
CD138陽性細胞が4個以下にならなかった状態を、
「持続性慢性子宮内膜炎」としました。
※CD138陽性細胞が5個以上での変動、
例えば、抗生剤を2回使って、
20個から10個になったとしても、持続性慢性子宮内膜炎とします。
この持続性慢性子宮内膜炎のグループは、
妊娠率・出産率は、
有意差を持って低くなったとの事です。
4個以下/HPFならば、まず胚移植を優先する。
慢性子宮内膜炎には、抗生剤が有用であった。
引用元:国際医療技術研究所 IMT College
※掲載許可を頂いております。
Impact of oral antibiotic treatment for chronic endometritis on pregnancy outcomes in the following frozen-thawed embryo transfer cycles of infertile women: a cohort study of 640 embryo transfer cycles Yujing Xiong, Qi Chen, Chunxiao Chen, Jinfeng Tan, Zengyan Wang, Fang Gu, Yanwen Xu Fertil Steril. 2021 Aug;116(2):413-421