今までの治療と、最近の治療とではかなり変わってきています。 排卵もあり、精子の所見も正常で、もちろん卵管等の検査も正常、いわゆる原因となるものが現在の検査方法では見当たらないカップルを、どのように治療するか、ということです。
排卵がない、あるいは時々しか排卵が無い場合は、排卵誘発剤を使用すれば妊娠しやすくなることは十分考えられます。
しかし、排卵もあり、精子も正常、その他の検査も正常なカップルはどうでしょう。
いまさら排卵のタイミングを合わせても妊娠しやすくなるでしょうか?
排卵があるのに排卵誘発剤を使用して妊娠しやすくなるでしょうか?
普通に考えても疑問は残ります。ではどのように治療を進めたらいいのでしょうか?
当院では次のような治療方針を決めています。
40歳以上は、体外授精をすぐに始めることを勧めます。
35歳以上39歳以下の人で、原因が見当たらず、3年以上の不妊症のカップルは体外受精を勧めます。
その他の場合に当てはまるカップルは、1から3回の排卵誘発剤を使用し、人工授精をし妊娠しなければ、体外受精をするか、あるいは最初から体外受精を勧めます。もちろん、排卵障害や無排卵の場合は、排卵誘発剤を使用した治療をします。 精子が少ない乏精子症(精子濃度が3000万/ml以下1000万/ml以上)の場合、人工授精をします。 卵管に原因のある場合はすぐに体外受精をします。なぜ、このように方針を決めたかを、以下に説明します。
妊娠することへの最大の鍵は、年齢だからです。
35歳以上は、急速に妊娠率が低下し始めます。また、原因の不明という状態は、どのようなことが考えられるか?ということです。
一番考えられるのは、卵子と精子が出会って授精していない、ということです。それは、
●卵管が卵子を取り込めない
●精子あるいは卵子が受精の場所である卵管膨大部まで到達していない
●受精が行われない
など、現時点では検査不可能な部分に原因のある可能性が高いからです。
では、精子が正常でも人工授精をする場合は、どのような時でしょうか?人工授精をする場合は、排卵のタイミングを精子の戻す時間と同調させるため排卵誘発剤を使用し行いますが、この場合は性交の回数が少ない、夫の出張が多い、子宮頚管の粘液が少なく子宮内に精子が到達していない場合、などが考えられるケースに行います。
もちろん人間の体です。 ぽっと自然にできたり、体外受精の準備中や、治療の合間に自然妊娠する場合もあります。しかし、このようなことは非常に稀です。もちろん、不妊症治療は個々の人に、それぞれオーダーメイドした治療が必要です。妊娠し赤ちゃんを得ることが究極の目的です。それに対し、一番妊娠しやすい方法は何が一番いいのか、納得できる方法で選んでください。
あくまでもこれは、ひとつの考え方です。従来のように、ステップアップ法で何年も妊娠していなくとも、自然排卵でタイミングを合わせ、次の段階として排卵があっても、排卵誘発剤を使用しタイミングを合わせ、それでも妊娠しなければ人工授精をし、それでもだめなら体外受精をする、という方法を選びたい方は、本人の希望に沿った治療をします。
逆に、最初から体外受精をしたい方は年齢に関わらず体外受精をします。 治療法の説明を受けたうえで、納得して治療法を選択してください。希望は遠慮なくお申し出ください。
当院では、不妊コーディネィターによる不妊相談や高度生殖医療の説明を行っています。
予約性で対応しますので、十分な時間をかけることができます。 詳しくは受付にてお尋ねください。