不妊原因の特定を行うための検査について説明をいたします。
基礎体温表(BBT)
基礎体温表は、治療や検査のスケジュ-ルに必要な情報です。 必ず、基礎体温表にグラフとして毎日記録して下さい。 付け方は看護士が説明します。 月経、性交、腹痛、不正出血の記録も重要です。
子宮卵管造影(HSG)
子宮の形や卵管の通過性を検査します。 通常、当院では一番副作用の少ない水溶性の造影剤を使用しています。 また、ヒスキャスと呼ばれる柔らかいカテーテルを使用します。 子宮の入り口をつかむ器具は、なるべく使用しません。 痛みに弱い方は、予め鎮痛薬の座薬を使用してもらっています。 これは、すべて痛みをなるべく感じないようにするためです。
通常の水溶性の造影剤を使用し、卵管の閉塞が強く疑われた場合は、次回の月経後に再度、卵管造影を勧めています。 この場合は、超音波により卵管の通過性を見ます。 この時は、発泡性の超音波検査用の液体を使用します。 これは、X線も使用せず、造影剤も使用しないため副作用もありません。 造影剤にアレルギ-のある方にも使用できます。 費用がやや高いことがやや難点です。
体外受精・顕微受精を施行する方も、卵管水腫 (卵管に水がたまってソーセージのように腫れる) が存在すると、妊娠率が非常に低下するため受けておくべき検査です。
子宮鏡検査(ヒステロスコープ)
子宮の中を直接、細いファイバーで観察する検査です。 これにより、小さな子宮筋腫や内膜ポリープの有無、子宮内膜の病変の有無などを調べます。 麻酔も必要なく、外来で出来る検査です。 写真は子宮の内腔で、黒く穴が空いている様に見える部分は、卵管の入り口です。
▲子宮鏡検査での映像1
▲子宮鏡検査での映像2
ホルモン検査
月経の周期中の日により、それぞれ検査するホルモンが違います。
月経3日目に、FSH(卵胞発育ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)、E2(女性ホルモンの一種類)。随時、T(テストステロン、男性ホルモン)、TSH・T4(甲状腺に関するホルモン)。高温相7日目に、P4(黄体ホルモン)、PRL(乳汁分泌ホルモン)を調べます。当院では、なるべく最小限の有意義なホルモン検査のみをすることを心がけています。
精子検査
3~4日の禁欲後検査します。ご自宅で採取し、持参して頂ければ構いません。精子の数や奇形率、感染の有無、運動性を調べます。
また、自動分析装置にて詳しく調べます。当院では、精子を特殊染色し(アクリジンオレンジ染色)、精子の成熟度を調べ受精能力の有無を調べています。