不妊治療

レトロゾールの安全性について、その他の排卵誘発剤の安全性について

2005年11月にカナダからレトロゾール(商品名 フェマーラ レトローズ アリミデックス)を排卵誘発剤としての使用に対する注意が報告されました。しかし内容が誤って伝えられています。
まず全ての情報から分析し安全といえます。カナダの報告は妊娠している人には投与しないでくださいとのことと、排卵誘発剤として開発された薬剤ではないとのことの2点です。
排卵誘発剤は一般に経口薬であろうと注射薬であろうと妊娠中の投与は認められていません。それでは排卵誘発剤を使用して妊娠した場合、胎児に影響があるかどうかということです。結論は影響ありません。それは月経(生理)1日目から14日目までは卵子の状態であり薬剤や放射線の影響を受けないためです。薬剤や放射線の影響が出るのは受精卵になって着床するおよそ月経19日目以降になって可能性があります。レトロゾールは月経2ないし3日目より5日間投与する方法です。従って月経8日目以降にレトロゾールを飲むことはありません。しかもレトロゾールは2日間で血中より消失します。つまり月経10日目には体からレトロゾールはなくなります。この後妊娠するわけですから薬剤の影響はありません。レトロゾールは排卵誘発剤として安全といえるのです。
2点目の排卵誘発剤として開発されたのではないという点についてですが、本来レトロゾールは乳癌患者の治療薬です。しかし抗癌剤ではありません。乳癌はエストロゲンというホルモンにより増殖したりします。レトロゾールを長期に使用すると女性ホルモンが低下し乳癌の再発を防げます。この作用を利用します。レトロゾールを短期間使用すると、一時的にエストロゲンの産生が低下し、その反動で脳の下垂体という部分からFSHという卵子を育てるホルモンが多く出てきます。また卵子のFSHに対する反応も良くなる作用を併せ持っています。その結果良質の卵子が形成されます。このような理由で欧米では現在、広く用いられています。開発の目的が違っても他の治療に用いられる場合は数多くあります。レトロゾールは安全な排卵誘発剤です。